主な事業/国際協力に関する事業(海外難民救援事業【旧「世界子ども救援事業」】)

2022年ウクライナ侵攻 難民救援キャンペーン 

毎日爆撃 映画のよう
  
夫残し大阪へ

ビザの申請に日本大使館を訪れたオレシア・サブリバさん=ポーランド・ワルシャワで2022年3月21日、小出洋平撮影

ビザの申請に日本大使館を訪れたオレシア・サブリバさん=ポーランド・ワルシャワで2022年3月21日、小出洋平撮影

 日の丸の旗がはためくポーランド・ワルシャワの日本大使館。2022年3月21日午前9時、ウクライナ・キエフから逃れてきた主婦のオレシア・サブリバさん(49)は20歳と13歳の娘2人と共に、日本滞在のためのビザ申請に訪れた。「爆発が毎日朝から晩まで。本当に怖い」。日本語で思いを語った。

 ロシアの侵攻は2022年2月24日に始まったものの、当初は自分たちが暮らすキエフ中心部はあまり被害を受けなかったという。ところが2022年3月5日ごろから状況が一変した。友人宅の隣のマンションが攻撃を受けたり、近所の駐車場でも爆撃で車が全て破壊されたりした。

 危機は身近に迫るが、大好きな母国を離れる決断はなかなかできなかった。「すぐ終わる、明日終わる、あさって終わる」と祈るような気持ちだった。「本当に怖いのは最初の1日だけです。あとは映画の中に自分が入っているみたい。信じられないことになっています」。夫を家に残し、娘らとボランティアが運行する避難バスに乗って、2022年3月19日にポーランドに逃れた。

 2000年まで4年間、日本で暮らし、旅行会社で働くなどした。その後も毎年のように日本を訪れ、家族ぐるみで付き合う友人も多い。今回は大阪の友人が受け入れ先となってくれて、深く感謝しているという。

 ただ2022年3月21日は日本の祝日・春分の日で、ポーランドの日本大使館も休館だった。サブリバさんは2022年3月22日に出直してビザを申請し、2022年3月23日に受領。2022年3月28日に渡航する予定だ。ポーランドには頼れる人がおらず、滞在費もかかるため、早く支援者がいる日本に行きたいという。「あと2週間で(戦争が)終わるかな……。終わってほしい。戦争が終わればすぐにウクライナに戻りたい」。自分に言い聞かせるように話した。

 2022年3月22日は開館と同時に数組のウクライナ人家族が大使館に入り、日本ビザの申請や受け取りを行った。東京在住の30代のウクライナ人男性は、ウクライナ北東部ハリコフからバスでワルシャワに避難してきた母親のビザ申請を手伝うため急きょポーランド入りした。戦争に心を痛め、都内の反戦デモにも参加。今回は母親を日本に連れて帰り、しばらく面倒を見る。ただ自宅は決して広くなく、長期化への不安もある。「悲惨な戦争です」。男性はそうつぶやいた。【ワルシャワ平野光芳】

 

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