主な事業/国際協力に関する事業(海外難民救援事業【旧「世界子ども救援事業」】)

2022年ウクライナ侵攻 難民救援キャンペーン

避難先ワンオペ疲弊
  
狭い部屋 5歳児抱えテレワーク

手狭なホテルの客室で仕事をしながら子供の面倒を見るタチアナ・マンズクさん=ポーランド・クラクフで2022年3月27日、小出洋平撮影

手狭なホテルの客室で仕事をしながら子供の面倒を見るタチアナ・マンズクさん=ポーランド・クラクフで2022年3月27日、小出洋平撮影

 ウクライナから戦火を逃れて周辺国に移った避難民の中には、テレワークで仕事を続ける人もいる。避難しても失業しないのは大きなメリットだが、待っている現実は厳しい。

 ポーランド南部クラクフ中心部にあるホテル。ダブルベッドとデスクが置かれた8畳ほどの簡素な一室で、タチアナ・マンズクさん(39)はノートパソコンと向き合っていた。「以前のように1日8時間集中して働くことはできません」。表情には疲れが隠せない。すぐ横では5歳になる長男がベッドの上におもちゃを広げて遊んでいた。

 ウクライナ西部リビウで夫と家族3人で暮らしていた。イスラエルに本社があるIT企業に勤務し、特に新型コロナウイルス禍以降はテレワークが当たり前になった。ロシアによるウクライナ侵攻から4日目の2022年2月27日、子供の安全を第一に考えて避難した。リビウはウクライナでは比較的安全とされるが、通信環境が悪化すればテレワークができなくなるのも懸念だった。夫を残し、子供と2人で自宅を出発してからは苦労の連続だ。クラクフまでは350キロほどだが、激しい渋滞でバスで1日半かかった。難民が殺到するクラクフは住宅難で、キッチンや洗濯機もない部屋で既に1カ月近く過ごす。避難直後にはコロナにも感染した。息子は「トイレに連れてって」「テレビのチャンネルを変えて」と手が掛かり、なかなか仕事に集中できない。

 会社は避難先の家賃を補助するなど配慮してくれている。ただ避難が長期化する恐れがある中、子供の教育など悩みは尽きない。「本当に愚かな戦争だと思います」。マンズクさんはそう話す。【クラクフ(ポーランド南部)で平野光芳】

 

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