主な事業/国際協力に関する事業(海外難民救援事業【旧「世界子ども救援事業」】)

2024年海外難民救援キャンペーン
       流民に光りを ウガンダから【特集】

難民居住区 土地所有 地元住民と共生

 ウガンダに集まる約180万人もの難民はいったいどこで、どのような避難生活を送っているのか。多くの国での一般的な難民キャンプとは異なり、政府が設けた難民居住区で暮らす。

 難民居住区は、ウガンダ人のコミュニティーに受け入れてもらう形で、地元民と地域で共生するのが特色だ。国内に13カ所あり、規模はさまざまだが、山手線の内側を上回る広さに10万人以上の難民が暮らすケースもある。

 さらに特徴的なのは、自立を促すため、政府から住まいや耕作のための土地が与えられることだ。難民は食料配給を受けるほか、ウガンダ人の畑仕事や家事を手伝ったり、商売を営んだりしている。学校や病院が整備され、商店が建ち並ぶエリアも形成されている。

 政府が難民に寛容な背景には、ウガンダ自体がかつて周辺国に難民を受け入れてもらい、それに報いる意味合いもあるという。

ウガンダ国旗 スーダンのエルファーシル、ウガンダのキリヤドンゴ難民居住区

 記者が取材した中西部のキリヤンドンゴ難民居住区は、地元民約73万人と難民約14万人が暮らす。2023年4月にスーダンで内戦が始まったことを受け、同国からの難民が急増。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、スーダン難民は主にキリヤンドンゴで受け入れており、ピーク時の23年11月に1カ月だけで1万8000人以上が流入した。今も1日平均180人を受け入れている。

 受け入れ態勢は厳しさを増す。医療施設を統括するアレックス・テジタ医師(44)は「保健システム全体が限界を迎えている」と話す。設備やスペースに加え、医師やスタッフが不足。緊急性の高い患者を優先しており、午前6時に順番待ちを始めた患者でさえ、なかなか順番が回らないこともある。

 言葉の壁もある。ウガンダでは英語が主流だが、スーダンの公用語はアラビア語だ。日常的なやりとりのネックになるほか、働く場も限られる。学校でも子どもが英語で行われる授業内容を理解できないという問題もある。UNHCRの現地担当者は「今後も難民の流入が予想される一方、資金援助は減っている。深刻な事態に対する早急な対応が必要だ」と国際社会の支援の必要性を訴えている。

◇ウガンダ

アフリカ東部の内陸国で本州とほぼ同じ面積の国土に約5000万人が暮らす。1962年に英国から独立。国旗は黒が肌の色、黄が太陽、赤は同胞愛を示し、中央の鳥はウガンダの国鳥のホオジロカンムリヅル。受け入れている難民は2024年12月末現在、約180万人でアフリカ最多。出身国別では、南スーダン97万人▽コンゴ民主共和国56万人▽スーダン6万人――など紛争が激しい周辺国から集まる。難民に移動の自由や就労の権利を認め、居住・耕作用の土地を提供する先進的な政策を取る。

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