ぼうさい甲子園2014 受賞団体の取り組み
受賞団体の取り組み――地域面から
優れた防災教育の取り組みを顕彰する1・17防災未来賞「ぼうさい甲子園」(毎日新聞社など主催)でグランプリに輝いた和歌山県田辺市立新庄中は、地震や津波の被害を受けてきた地域の経験を踏まえ、教科と結びつけた防災学習を14年間にわたって続けてきた活動が評価された。ぼうさい甲子園は今年度で創設10年。東日本大震災以降の関心の高まりから東北地方を中心に応募校は年々増えている。近畿の学校のグランプリ受賞は6年ぶり。
地域に密着「地震学」14年 グランプリの和歌山・新庄中
新庄中は2001年から3年生が毎週1回、国語や数学など教科ごとのグループを作り「新庄地震学」と名付けた授業に取り組んでいる。今年度は41人が8班に分かれ、過去の被災経験を聞き取ったり、津波の仕組みなどを学んだ。
学習の成果は地域住民らを招いて毎年秋の発表会で報告している。今年11月に体育館で開いた発表会で、社会班は昭和南海地震(1946年)の経験を地域の人から聞き取りした結果を発表した。残された津波の被害写真から、撮影された場所を探し出し、そこから最寄りの避難所まで走ったり、歩いたりして時間を計ったりした。避難経路を走って時間を計った小倉陽(ひなた)さん(15)は「災害時は建物や木が倒れているし、お年寄りはもっと時間がかかるかもしれない。
もう一度自分たちの街を知ってもらうことが防災につながると思う」と話した。家庭班は、地域住民の防災に役立ててもらおうと、自宅にある布を使って防災ずきんを授業で手作りし、発表会で炊き出しをしてくれた地元漁協の女性部メンバーに贈った。
井瀬敦司校長(58)は「地震学の取り組みが学校だけで終わらず、地域に生かされるのを生徒たちも願っている。これからも続けたい」と語った。 【椋田佳代】
教科アイデア賞、大阪市立鶴見橋中 だいじょうぶ賞、学生団体KUMC /大阪
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、府内からは大阪市立鶴見橋中(大阪市西成区)が「教科アイデア賞」、学生団体KUMC(高槻市)が防犯活動にも応用できる取り組みを対象にした「だいじょうぶ賞」に選ばれた。 鶴見橋中は、東日本大震災で被災した岩手県釜石市の中学生との交流をきっかけに、生徒有志が「子ども防災プロジェクトチーム」を結成した。「いのちの学校」をテーマに、避難所設営訓練や、東北を視察した生徒の報告会などをした。今夏の視察に参加した3年の右田海人さん(15)は「命をなくしたら後戻りできない。今のうちに備えておきたい。中学で終わりではなく、これからも防災を続けたい」と話した。
学生団体KUMCは、防災を学ぶ関西大社会安全学部の学生らが設立。地域の特徴を踏まえた防災出前授業を地元の高槻市などの小学校で開いている。代表で3年の岩竹萌美さん(21)は「活動が認められてうれしい」と話した。【椋田佳代】
道内から2校入賞 日赤道看護大と奥尻・青苗小 /北海道
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)で、道内からは日本赤十字北海道看護大災害beats研究会(北見市)が大学生部門の奨励賞、奥尻町立青苗小(石沢修介校長)が津波ぼうさい賞に選ばれた。
災害beats研究会は、看護学部の学生が厳冬期の災害に備えようと2010年に設立した。寒冷地の課題を探るため、冬に停電が起きた想定で避難所訓練を実施。暖かさを確保するため、体育館内にテントを張ったりアルミシートを敷くなどの案を考えた。顧問の根本昌広准教授の指導の下、暴風雪で車に閉じ込められたとの想定で、車内で何時間過ごせるか試す実験も行った。
部長の加藤千鶴さん(20)は「もしものために知識を学んで地域に生かしたい」と話した。
青苗小は1993年の北海道南西沖地震で大きな津波被害を受けた奥尻島にあり、当時の話を語り部の住民から聞いたり、幼稚園児に語り継ぐ活動をした。吉川聖教頭(47)は「21年前の経験から命を守るために取り組みを続けていきたい」と話した。【椋田佳代】
宮古工業高に大賞 大船渡・吉浜中「はばタン賞」 /岩手
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは県立宮古工業高の機械科津波模型班が高校生部門で最優秀の「ぼうさい大賞」に輝いた。宮古工業高の大賞受賞は3回目。大船渡市立吉浜中は、被災地での経験や教訓から生まれた活動に贈られる「はばタン賞」に選ばれた。
宮古工業高は、2005年から津波模型の製作を始め、地元の小学校などで出前授業をしてきた。紙粘土やベニヤ板で実際の地形の縮尺版を作り、色付きの水を流して津波の浸水状況を再現する。 宮古市や山田町など沿岸部の模型は11基になり、実演は7月で100回を超えた。
顧問の山野目弘教諭(62)は「賞をはずみに外部に向けて貢献したい。今後は南海トラフ巨大地震が想定される四国の津波模型を作ってみたい」と話した。
吉浜中は、過去に津波の被害を受けて高台に移転した地域の歴史を基にした劇を上演したほか、津波記念碑の建立に向け募金活動をした。【椋田佳代】
県内の2団体が受賞 仙台・桂小とACTION /宮城
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは、仙台市立桂小(飯塚巌校長)が防犯にも応用できる取り組みを表彰する「だいじょうぶ賞」、「ACTION―students’ project for 3・11」が被災地での経験や教訓から生まれた活動が対象の「はばタン賞」に選ばれた。
桂小は、2012年度から防災の取り組みをスタート。住んでいる地域ごとに全校児童が13の縦割り班を作り、リーダー役の6年生を中心に、集団下校時に災害時の危険箇所などを調べて通学路の安全マップを作成した。
前田秀勝教諭(45)は「いつ起きるか分からない災害に備え、日々の生活の中で継続して防災に取り組みたい」と話した。
ACTIONは、東日本大震災をきっかけに関西の大学生らで結成。津波の被害を受けた気仙沼市の大島に通い、島の魅力を伝える「しまだより」を子どもたちと作成した。代表の神田大樹さん(24)は「大島の良さをもっと知ってもらいたい」と意気込みを語った。【椋田佳代】
「仁賀保高2組織、奨励賞 2年連続入賞 /秋田
優れた防災教育や活動に取り組む学校・団体を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞、毎日新聞社など主催)の奨励賞に、県立仁賀保高の生徒でつくる自主防災組織「Benkyo&Volunteer同好会(BV会)」と「Be助人(ビスケット)」が選ばれた。ビスケットは昨年度、ぼうさい甲子園のフロンティア賞を受賞しており、同校からの受賞は2年連続となった。
BV会とビスケットは、被災地の保育園に絵本を寄付したり、高齢者との交流会を開いたりすることで、災害の時支援を要する人たちとのつながりを日ごろから養ってきた。
また、ビスケットは地域住民や地元の中学生を巻き込んだ1泊2日の避難所運営訓練を実施。11月には、県の優良自主防災組織として表彰されている。
受賞について、両団体の顧問を務める五十嵐恒憲教諭は「活動の継続性が評価されたと思う。大切なのは、大人が計画するのではなく生徒たちが自発的に取り組むこと」と話した。【松本紫帆】
東金特別支援学校が奨励賞受賞 /千葉
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは、県立東金特別支援学校(日暮和弘校長)が高校生部門で奨励賞に選ばれた。ぼうさい甲子園での受賞は4年連続。
東金特別支援学校は、知的障害などがある児童生徒が、家具を固定したり、地震の際に頭部を守るなどの当たり前の備えをしていこうと、お笑い芸人のネタを基にした「あたりまえ防災」に取り組む。替え歌に生徒が振り付けし、歌って踊りながら防災を学んでいる。今年は、高等部の生徒会が中心になってあたりまえ防災の劇を上演した。瀧川猛教諭(47)は「種をまけば生徒たちが自分からアイデアを出してくれる。防災活動を続けていくのが当たり前になれば、命が救われると思う」と話した。【椋田佳代】
奨励賞に能登・小木中 /石川
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは能登町立小木中(大句わか子校長)が奨励賞に選ばれた。小木中の受賞は2012、13年度の「津波ぼうさい賞」に続いて3年連続。
海に面した地域にある小木中は、東日本大震災で被災した三陸地域と地形が似ていることから、2011年から防災学習を始めた。大人や高校生が少ない昼間に災害が起きれば中学生が防災の担い手になると考え、「小木の町から犠牲者を出さない」を目標に活動している。高齢者を疑似体験するため重しを付けて避難訓練を行ったり、修学旅行では宮城県石巻市の中学生と交流した。2年の奥成恵子さん(13)は「本当に地震や津波が来た時のためこれからも地域との交流を深めていきたい」と話した。【椋田佳代】
優秀賞、静岡大・藤井研究室に栄冠 留学生向けに地震・津波の教材 /静岡
優れた防災教育や活動に取り組む学校や団体を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは静岡大教育学部藤井基貴研究室が「優秀賞」に選ばれた。昨年度の「教科アイデア賞」に続く受賞で、今回は1月11日の表彰式・発表会に招待され、取り組みについて発表する。
「災害時に弱者となる人をサポートするための教材を開発する」というテーマで昨年度から取り組み、岐阜県の特別支援学校と協力して特別支援学校の児童向けの教材をつくった。中でも紙芝居「みずがくるぞ」は、地震と津波の被害について分かりやすく説明したものになった。
今年度は来日中の外国人留学生を対象にした教材と授業を考えている。国の政策もあって日本への留学生や観光客は増えているが、多くは地震や津波の経験を持たず、避難場所など基本的な防災の知識は持っていない。イラストや道具を使うなどで分かりやすく地震、津波についての知識を伝え、避難や被災地での活動について知ってもらう、という活動を大学生・大学院生が協力して進めている。
指導している藤井基貴准教授(39)は「評価されて光栄だ。静岡で教員を目指す学生たちが防災について学ぶことは、今後の学校での防災教育の芽を育てることにつながると思う」と話している。【伊地知克介】
大賞・亀崎小、体験活動取り組む 優秀賞・翼小、自主的に体感訓練 /愛知
優れた防災教育や活動に取り組んでいる学校や団体を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内から、半田市立亀崎小(木村孝之校長)がぼうさい大賞、高浜市立翼小(六角英彰校長)が優秀賞を受賞した。両校は来月11日に神戸市で開かれる表彰式・発表会に招かれ、成果を報告する。他に工夫した活動に与えられる「フロンティア賞」に西尾市立福地中、初応募の学校の中で特に優れた活動と認められた学校を対象に選ぶ新設の「新人賞」に県立知立東高が選ばれた。
亀崎小は、地震と津波を意識した防災に取り組み、「亀っ子防災隊」を作って見学・体験活動を展開したり、防災学習室を設けて児童が学べる環境を作ったりしている。「防災運動会」でバケツリレーの競争をするなど、学校生活のさまざまな場面に防災を取り込んでいるのも特徴で、児童の主体的な学習を支える取り組みとして評価された。
木村校長は「4年間、継続して取り組み、児童の意識も高まってより発展的になってきた。このまま続けて、いつか起きる南海トラフ巨大地震に備えたい」と話している。
翼小は、児童が話し合い、自主的に考えながら防災体感訓練に臨んでいる。「マイ防災袋」を作る活動なども特徴的で、地元の祭りに参加して屋台などの利益を防災に生かす取り組みも評価された。
福地中は災害時に支援できるように地元の高齢者宅を訪問する活動、知立東高は「防災新聞」を作り、周辺に配布する活動などが注目された。【伊地知克介】
2校1団体が受賞 神戸聴覚支援学校や淡路高など /兵庫
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは神戸市垂水区の県立神戸聴覚特別支援学校(矢野博校長)が「フロンティア賞」、神戸市東灘区のアトリエ太陽の子(中嶋洋子代表)が「継続こそ力賞」、淡路市の県立淡路高(粟井光代校長)社会研究部が「はばタン賞」に選ばれた。
県立神戸聴覚特別支援学校は、2012年度から本格的に防災を始めた。「耳が聞こえません」「手話ができます」と書かれた防災バンダナを全生徒が携帯する。今年9月には、高等部の生徒13人が初めて東日本大震災の被災地でボランティアをした。中川芳美教諭は「一緒に命を守るために生徒自身が体験し、発信することを大事にしている」と話した。
アトリエ太陽の子は10年連続の応募。絵画を通じた被災地支援を東北の学校などで行った。淡路高社会研究部は、阪神大震災を語り継ごうと、19年前に被災した地域を生徒が歩いて住民に話を聞いたり、北淡震災記念公園で語り部活動をした。【椋田佳代】
印南中「継続こそ力賞」 フロンティア賞、上富田ふれあいルーム /和歌山
優れた防災教育や活動に取り組む学校や団体を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは田辺市立新庄中が近畿の学校としては6年ぶり、県内の学校としては初めてグランプリを獲得した他、印南町立印南中(片山隆校長)が「継続こそ力賞」、上富田ふれあいルーム(上冨田町)が「フロンティア賞」に選ばれた。
印南中は、津波防災についての取り組みを続けてきた。津波のシミュレーションをしたり、過去の津波について調べたりする活動は地域でよく知られており、ぼうさい甲子園でも過去に奨励賞、津波ぼうさい賞などを受賞してきた。今年は津波の避難路や避難場所などを調べる学習をした。担当の阪本尚生教諭は「10年間93人の生徒と共に取り組んできた津波研究や防災啓発活動は、徐々にまちに浸透している。活動が次の南海地震に生かされ、160年前の安政南海地震の時に印南の先人が成し遂げた犠牲者ゼロの再現につながることを願っている」と話した。
上富田ふれあいルームは土曜日の午後に活動する朝来(あっそ)児童館での取り組みだ。阪神大震災の被災体験のある幾島浩恵さんが指導し、季節の行事に防災を組み合わせながら、小学生たちが学んできた。今年10月には「ハロウィン」の行事に防災クイズを組み合わせるなど、工夫した活動が特徴。
幾島さんは「阪神淡路大震災から20年目という節目の賞で、とてもうれしい。自分が体験した『神戸』、見てきた『東北』を忘れずに、これから来ると言われている大地震に備えたい」と話している。【伊地知克介】
県内から2校 印南中「津波ぼうさい賞」、熊野高「教科アイデア賞」 /和歌山
優れた防災教育や活動に取り組む学校や団体を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは印南町立印南中(片山隆校長)が「津波ぼうさい賞」、県立熊野高(稗田敬一校長)=上冨田町=が「教科アイデア賞」に選ばれた。 印南中は、2005年度から3年生の選択科目で、津波防災についての取り組みを続けてきた。国立和歌山高専から提供を受けたコンピューターデータをもとに、条件を変えて、印南を襲う津波のシミュレーションを行ってきた。担当の阪本尚生教諭(58)が今夏、地形図と津波浸水図を重ね合わせることを思いつき、津波第1波の進入路や侵入時間が具体的に分かるようになった。
今年度は、算出された津波の高さがどれくらいかを体感するため、3年生5人が現地に出向き、リポーターとカメラマンに分かれて津波リポートを行った。収録した映像は今月14日の文化祭で公開し、全校生徒や地域住民への啓発を図る予定。阪本教諭は「私たちの取り組みにふさわしい賞をいただけてうれしい」と話した。
熊野高は今年度、総合学科の三つの選択科目で、2、3年生が「ハートフルハザードマップ」づくりに着手。明治時代以降に地域を襲った洪水を対象に、史実の文献調査や地域の人たちへの聞き取りをしている。また、一人暮らしの高齢者宅を生徒たちが放課後などに訪問し、安否確認を行う取り組みを来年1月から始める予定だ。【後藤豪】
小学生部門 奨励賞にアカザ隊 はばタン賞は育英小 /山口
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは小学生部門の奨励賞に防府市の「水の自遊人しんすいせんたいアカザ隊」が、被災地での経験や教訓から生まれた活動を対象にした「はばタン賞」に萩市立育英小(河上克己校長)がそれぞれ選ばれた。
アカザ隊の受賞は7回目。川遊びグループとして発足し、現在は防府市の小学生ら約20人が活動する。今年は、メンバーが観光客の目線で防府天満宮周辺を歩き、災害に役立つ情報を盛り込んだ「ぼうさい・観光マップ」を作製した。事務局の吉野邦子さん(44)は「受賞は励みになる」と喜んだ。
育英小は、昨年7月の山口・島根豪雨で校区が被害を受け、全国からボランティアが集まった。児童も支援の手伝いをしたことがきっかけで、昨年は仮設住宅を訪問して被災者と交流した。今年は、九州北部豪雨で被災した熊本県阿蘇市からもらったヒマワリの種を育てた。山本豊三教諭(46)は「地域の方の笑顔に励まされて子どもたちが成長している」と話した。【椋田佳代】
徳島・津田中に優秀賞 8度目の受賞 事前復興街づくり計画着手 /徳島
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社など主催=で、県内からは徳島市津田中(長江俊明校長)が中学生部門の優秀賞に選ばれた。津田中の受賞は2010、11年度のグランプリを含めて8回目。
将来、発生が予想される南海トラフ巨大地震で津波被害を受けた後の街づくりを事前に考えておこうと、3年前から「事前復興街づくり計画」に取り組む。今年は、防災講座を選択する30人が夏休みに地域の600軒を訪ね、避難場所の津田山の活用法などに関する意識調査を行った。計画案はジオラマにして住民に提案する。
講座を担当する佐藤康徳教諭(46)は「生徒は自分たちの街をつくる使命感も出てきて、前向きに取り組んでいる」と話した。【椋田佳代】
高校生部門、須崎工高が優秀賞 津波ぼうさい賞に須崎高、高知・南海中 教科アイデア賞に黒潮・佐賀小 /高知
◇県内から4校
優れた防災教育や活動を顕彰する今年度の1・17防災未来賞「ぼうさい甲子園」(毎日新聞社など主催)で、県内からは、県立須崎工業高(竹村謙校長)が高校生部門の優秀賞、県立須崎高(秋森学校長)と高知市立南海中(大谷明彦校長)が津波ぼうさい賞、黒潮町立佐賀小(中平泰史校長)が教科アイデア賞に選ばれた。
須崎工業高は、工業高校ならではの技術や得意分野を生かして防災をテーマにしたものづくりに取り組む。
ユニバーサルデザイン科は、緊急避難場所に指定されている校内で、夜間でも場所が分かるように暗い場所で光る蓄光塗料を使った案内板やLED(発光ダイオード)照明の誘導灯を製作している。同科3年の和田雄大さん(18)は「初めて学校に来た人も分かるように見やすくしようと心掛けた」と話した。
須崎高は、防災プロジェクトチームのメンバーが夏休みに地元住民や商業施設の避難対策を聞き取り調査し、課題をまとめて楠瀬耕作須崎市長に手渡した。南海中は生徒らが防災に取り組む委員会「NSP実行委員会」を設立し、津波の避難場所をまとめたパンフレットを作った。佐賀小は独自のキャラクターを活用した防災に取り組む。【椋田佳代】
(2014年12月17日毎日新聞大阪朝刊)