ぼうさい甲子園2014 表彰式・発表会(2)


いのち守る絆、私たちが創る

受賞者を前に合唱を披露する兵庫県 立長田高校音楽部と神戸聴覚特別支援学校の生徒たち
希望の歌「東日本」へ届け、手話も一緒に=受賞者を前に合唱を披露する兵庫県立長田高校音楽部と神戸聴覚特別支援学校の生徒たち

あすへの備え、学校・地域から発信

表彰式・発表会のオープニングステージでは、兵庫県立長田高音楽部の48人による合唱「花は咲く」に合わせて 、兵庫県立神戸聴覚特別支援学校の15人が手話を披露した。
「花は咲く」は東日本大震災の復興支援歌。神戸聴覚特別支援学校は、中学部と高等部の生徒が音楽の授業で歌詞に合 わせた手話を考え、動画で発信している。高等部2年の鍵本直哉さん(17)は「耳が聞こえない人にどんな手話を使え ば伝わるか話し合って作った。こんな大勢の前で歌ったのは初めて」と話した。

長田高2年の前原崇志さん(17)は「 阪神や東日本の被災者を思って歌った。手話と一緒に合唱したのは初めてでリハーサルは少し戸惑ったが、本番はうまく いった」と笑顔だった。

行動できる人間に

司会を務めた兵庫県立淡路高校の渋谷菜々美さん
司会を務めた兵庫県立淡路高校の渋 谷菜々美さん
司会を務めた兵庫県立淡路高校の渋 谷菜々美さん

発表会の司会は、兵庫県立淡路高放送部で2年の渋谷菜々美さん(17)が務めた。  発表会では「避難経路と避難場所をもう一度確認し、いざという時に行動できるようにしたいです」「もっと防災につ いて学ぶことが大切だと改めて気付きました」など、各校・団体の発表が終わるごとにコメントを付けた。渋谷さんは「 緊張した。これから起こるかもしれない震災に備え、防災への思いが広がるようにと願って司会した」と話した。

講評

「次」見据える力感じる
河田恵昭・選考委員長
河田恵昭・選考委員長

河田恵昭・選考委員長

審査は、地域性、独創性、自主性、継続性の観点から検討した。新庄中は、学校と地域の連携の深まりが防災意識 の高揚につながっている点が高く評価できる。亀崎小は、心の教育や知識、行動スキルの向上を目指して防災教育の実践 を行っている。宮古工業高は、津波についての理解や避難の仕方など犠牲者を少なくする取り組みが高く評価された。
優秀賞や奨励賞は、活動が地域の絆につながっている好事例も見られ、それぞれの学校や地域の実情に応じた多様な活 動が評価された。東日本の被災地で子どもたちが震災を乗り越えて未来に向けて歩んでいく姿や次の災害に備える取り組 みも多く見られ、力強さを感じる。多様な取り組みがあり、全体のレベルも年々高まっている。

元阪神タイガース・桧山さんもエール

 

会場では、元阪神タイガース選手で、阪神大震災の遺児支援を続ける桧山進次郎さんから寄せられたビデオメッセ ージが上映されたほか、洋菓子メーカー「トーラク」(神戸市東灘区)の提供で神戸土産として知られる「神戸プリン」 が先着300人に配られた。

桧山さんは遺児の支援施設「神戸レインボーハウス」の訪問などをしている。会場では休憩時間などに桧山さんの映像 が流れ、「みなさんの日ごろからの防災活動に取り組む姿勢が、みんなに勇気を与えています。これからも、明るい社会 であるために、共に、そして前向きに、がんばっていきましょう」などというメッセージに聴き入った。桧山さんのサイ ンとともに「飛躍」と書かれた色紙の展示もあった。

阪神未来宣言フォーラム

「阪神」遺児 同じ悲しみ二度と
小島汀さん
防災への思いを語る小島汀さん=神 戸市中央区下山手通4の兵庫県公館で

防災への思いを語る小島汀さん

創設10年の今回は、防災を学ぶ若い世代が語り合う「防災未来宣言フォーラム」が午前中に行われた。兵庫県立 舞子高環境防災科の卒業生で、阪神大震災(1995年)で父を亡くした小島汀(おじまみぎわ)さん(23)らが「防 災教育の学びと未来」をテーマに発表したほか、各部門奨励賞や特別賞を受賞した19校・団体が活動を紹介した。
小島さんは3歳の時に被災。遺児支援団体との出会いや震災を伝える活動に取り組んだ高校時代の経験を紹介し「(父 を亡くした自分と)同じ思いをする人を二度と作りたくないと防災の取り組みに参加している。防災は難しいという人も いるが、地域やまわりの人とつながることで災害時に自分たちを守ることができる」と発表した。災害への備えを充実させるための祭りで出店し、募金を集めるなどの活動も進めた。学校で備蓄するものも、何を買うと役立つかを自分たちで考え、話し合って決めた。

「自分で災害について考え、行動できるようになった」と報告した茂木さんは「(発表は)練習通りにできて良かった 。表彰を受けてすごくうれしかったです」と話した。

阪神未来宣言フォーラム

震災 語り続けよう
防災未来宣言を読み上げる菊池のど かさん(中央)ら
防災未来宣言を読み上げる菊池のど かさん(中央)ら

岩手県釜石市立東中卒業生

2011年度にぼうさい大賞を受賞した岩手県釜石市立釜石東中卒業生の菊池のどかさん(19)は、昨年11月 に創設10年を記念して行われた合宿で、これまでの受賞校の卒業生らと教訓を未来に伝えるため「防災未来宣言」を作 り上げた過程を紹介した。「一人でも多く未来の方が助かるように目をそむけず東日本大震災の体験を語り続けようと思 った」と話した。菊池さんは表彰式・発表会で、「もしもの時も『絶対に生きる』強い意志を持ち、いのちを守り抜きます」「いのちを大切にする防災活動を広げます」などとした「防災未来宣言」を読み上げた。

 

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