ぼうさい甲子園2017 表彰式・発表会
街の未来守る 安心、私が創る
優れた防災教育の取り組みを顕彰する今年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)=毎日新聞社・兵庫県・ひょうご震災記念21世紀研究機構主催、UR都市機構協賛=の表彰式・発表会が今月7日、神戸市中央区の兵庫県公館で開かれた。13回目となる今回は、小学生、中学生、高校生、大学生の4部門に計130校・団体の応募があり、33校・団体が入賞した。グランプリ、ぼうさい大賞、優秀賞の8校の発表内容などを紹介する。
グランプリ
保育所で出前授業 徳島・阿南の津乃峰小
津乃峰小(徳島県阿南市)は、チャレンジクラブの山下漱斗(しゅうと)さん(6年)、多田凜花さん(同)ら6人が「地域の未来を救え!〜つのみね子ども防災リーダーをめざして〜」と題して発表した。
今年度は近くの山へ登って校区の地形を学んだり、地域住民から昔の津波の話を聞いたりした。また、「校区のどこにいても避難して命を守れるようにするために」、避難所を巡るウオークラリーも実施した。
活動は幅広く、保育所で出前防災授業をしたり、防災マップや防災頭巾を地域住民に配ったりもした。6人は「マップの使い方などを伝えることで、地域住民とつながっていきたい」と話した。他にもバスでの親子宿泊や、防災公園の施設利用などを体験した。運動会では地震発生の仕組みを説明し、避難を模した競技で汗を流すなど、さまざまな工夫をこらしているという。
最後に6人は「自分たちの活動は地域住民、PTA、警察などに支えてもらっている」と感謝の弁を述べた。
幅広い活動、工夫に驚き 司会・芦屋高2生徒
発表会の司会は、兵庫県立芦屋高放送部2年の金子允実(まさみ)さん=写真左=と黄蓉(こうゆう)さん=同右=が務めた。校外の人が多くいたため緊張したというが、原稿は棒読みせず、感情を入れるよう心がけた。
金子さんは、表彰された学校の取り組みを聞いて「動画をインターネットで公開するなど、芦屋高より学校外に向けた活動が幅広い」と驚いたという。黄さんも「発表にダンスや劇などが取り入れられ、工夫されていた」と感心した様子だった。
前向きな思い、歌に乗せ 兵庫・長田高音楽部
表彰式に先立つオープニングステージに立ったのは兵庫県立長田高の音楽部。男女混声の34人が、生き生きとした歌声を会場に響かせた。曲目は岡本真夜さんの「TOMORROW」、東日本大震災で傷ついた人たちのために作られた「前へ」など。高木洸陽さん(1年)は「震災が起きた場所で表彰式を開くので希望を感じられる曲を選んだ」、指揮者の伊原朝子さん(2年)は「前向きな気持ちが伝わるような歌声を届けられたと思う」と話した。
講評
防災力向上を実感 選考委員長・河田恵昭 人と防災未来センター長
回を重ねるごとに防災教育の取り組みが各地に定着し、広がっていることを実感した。
グランプリの徳島県阿南市立津乃峰小は、保育所での出前授業や防災マップの改良など創意工夫を重ね、活動を発展させている点が高く評価された。ぼうさい大賞の高知市立南海中、兵庫県立山崎高、静岡大藤井基貴研究室も、地域の防災力向上や他団体とのネットワークづくりなどに取り組んでいる。
その他にも高齢者や障害者の避難支援、平素からの安否確認など、災害時要援護者を支援する活動が多くみられた。仮想現実のような最新技術の活用や、熊本地震の被災地で仮設住宅と交流するなどの活動もあった。
選考対象は小学生から大学生の活動だが、着眼点など大人も学ぶべき点は多い。安全、安心な社会づくりに向けて取り組みの継続を期待している。
2018年01月25日特集面