開かれた新聞委員会


開かれた新聞委員会とは

開かれた新聞委員会は、社外の複数の有識者で構成される、毎日新聞の編集局から独立した第三者機関です。開かれた新聞委員会には三つの役割があります。

  1.  1. 人権侵害を監視
  2. 記事による名誉やプライバシーに関する問題など、当事者からの人権侵害の苦情や意見に対する本社の対応について、見解や意見を示します。毎日新聞ニュースサイトのデジタル報道も対象とします。

  3.  2. 紙面へ意見
  4. 委員が本紙の報道に問題があると考えた場合、読者や当事者からの苦情の有無にかかわらず、意見を表明します。

  5.  3. メディア提言
  6. 委員は、これからの新聞のあり方を踏まえたより良い報道を目指し、メディア全般の課題について提言することができます。委員の見解は、原則として毎日新聞紙面で報告します。また、委員の活動をサポートする事務局は、編集局からの独立を担保するため、本社の編集最高責任者である主筆の直轄組織とします。

※注意
(1)について、訴訟が見込まれるものは対象となりません。また、政治家や高級官僚など「公人」からの苦情も対象となりません。
(2)について、編集方針に関するテーマは除きます。

 

最近のテーマ

テーマ一覧

 

委員経歴

小町谷育子

小町谷 育子(こまちや・いくこ)氏

情報公開や個人情報保護などの情報法の分野を取り扱う。日本弁護士連合会事務次長などを経て、2021年4月からBPO放送倫理検証委員会委員長に就任。1963年生まれ。早稲田大卒。


治部れんげ

治部 れんげ(じぶ・れんげ)氏

日経BP社を経て、2021年4月から東京工大准教授。ジェンダーや労働問題に詳しい。著書に「『男女格差後進国』の衝撃」など。1974年生まれ。一橋大卒。


武田徹

武田 徹(たけだ・とおる)氏

2017年から専修大教授。メディア社会論が専門。著書に「『隔離』という病い」「戦争報道」「原発報道とメディア」など。1958年生まれ。国際基督教大卒。


西田亮介

西田 亮介(にしだ・りょうすけ)氏

2015年から東京工大准教授。博士(政策・メディア)、社会学が専門。著書に「コロナ危機の社会学」「メディアと自民党」など。1983年生まれ。慶応大卒。

 

「開かれた新聞」委員会発足にあたって

信頼される情報提供を目指します

毎日新聞社主筆・北村正任(当時)

21世紀まであと2カ月余りとなりました。新聞にも、新しい時代にふさわしい使命を果たすことが求められています。

新しい時代に、いっそう数を増やすメディアの中で、新聞にこそ求められる役割は何でしょうか。それはひとえに、提供する情報の信頼度の高さだと考えます。無数の情報が乱れ飛ぶ中にあって、これこそが信頼するにたる情報だ、と言えるものを送り続けることなしには、新聞は生き延びられないでしょう。

信頼は一方的な押し付けで成り立つものではありません。毎日新聞は独善に陥ることなく、社外の声、読者の声に耳を傾けながら、国民の知る権利に応えるための活発な取材・報道を果敢に継続しようと決意しています。社外の識者に参加をお願いして「開かれた新聞」委員会を創設したのは、このような課題に応えていくためです。

最近、私たちにとってとても心外で残念なことがありました。法務省人権擁護推進審議会が、この夏、人権救済制度の検討のための論点整理を公表しました。その中に、主な人権侵害類型として「ストーカー」や「児童虐待」などと並んで「マスメディア」が挙げられたのです。総体としての「マスメディア」が、人権侵害の被告席に着かされたのです。

毎日新聞はその「基本理念」の冒頭に「人間ひとりひとりの尊厳とふれあいを重んじます」と明記し、人権の実現と擁護を報道の柱にしています。ここ数年を見ても、公害や薬害、知的障害者や幼児の虐待を摘発するなど、ひとりひとりの人権を守り、救済しようとする報道の事例は多く、その社会的貢献度は決して低くないと自負しています。本年度の日本新聞協会賞を受賞する「片山隼君交通事故キャンペーン」もまさにそのひとつです。

新聞、雑誌、テレビなどによる取材・報道の過程で、個人の名誉棄損やプライバシーの侵害が生じ、社会各層から批判の声が上がっているのは事実ですし、毎日新聞もその点でまったくの潔白を主張するものではありません。しかし、そのことを理由に、政府などが報道を規制することになれば、新聞が果たしている人権擁護、不正摘発の活動は大きな打撃を受けることになるでしょう。日ごろ新聞報道に対して「名誉棄損だ」「プライバシー侵害だ」として抗議することが最も多いのは、国会議員であるという事実も知っていただきたいのです。

毎日新聞は自らが犯しかねない人権侵害を自律的に、しかも独善的にならずに防止する方策を考えつづけてきました。読者からの苦情や意見の窓口となる「読者室」の活動強化もそのひとつですし、外部の識者による新聞批判を定期的に紙面に掲載することもそのひとつです。それでも「それらは新聞社のお手盛りの処理だ」とする批判は消えません。

「開かれた新聞」委員会の役割は、毎日新聞と読者の間に立つ第三者の目で、報道の過程で生じる人権問題を見守っていただくことです。またマスメディアが人権問題に果たすべき役割を、個々の出来事に即して提言していただくことです。訴訟になる事例は裁判所の判断を待つことになるでしょうが、それ以外の苦情について、委員から意見が寄せられた場合は、紙面で報告します。

毎日新聞編集綱領は「われわれは、開かれた新聞を志向する。新聞のよって立つ基盤が広範な読者、国民の信頼と協力にあることを自覚し、積極的にその参加を求めていく」と宣言しています。今回の委員会創設は、この綱領の精神をさらに具体化しようとするものです。読者のみなさまのご意見、ご批判をいただきながら、実のある制度に育てていきたいと考えています。

(2000年10月14日付毎日新聞より)

 

お問い合わせ

毎日新聞に対するご意見、感想、苦情などは各本支社、支局のほか、 「毎日新聞社のニュースサイト」でも受け付けています。

「開かれた新聞」委員会事務局に直接お送りいただく場合は、下記にお願いいたします。

〒100-8051
東京都千代田区一ツ橋1-1-1
毎日新聞「開かれた新聞」委員会事務局

FAX 03-3212-0825

 


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