ひと:佐々木愛さん=草花を活用した震災復興支援で毎日地球未来賞


佐々木愛(ささき・めぐみ)さん(17)――青森県立名久井農業高校TEAM FLORA PHOTONICS

毎日地球未来賞のトロフィーを手に笑顔の佐々木愛さん
毎日地球未来賞のトロフィーを手に笑顔の佐々木愛さん

青森県南部町にある県立名久井(なくい)農業高校の課題研究グループ「TEAM FLORA PHOTONICS(チーム・フローラ・フォトニクス)」のメンバー12人の代表。取り組んできたのは同県八戸市の名勝地・種差(たねさし)海岸に群生する希少なサクラソウの保護だ。東日本大震災の津波で絶滅の危機に陥っていた。「ピンク色の花が一面に広がる群生地は海岸のシンボル。ずっと咲き続けるように守りたい」と話す。

幼い頃から花屋でいろいろな花を見て回るのが楽しみだった。高校2年の時、「もっと詳しく学びたい」と思い、植物の研究に取り組むこのチームに入った。サクラソウの保護活動では人工授粉に挑んだ。雄しべから花粉をピンセットで取り、別の花の雌しべにつける。地道で難しい作業だ。「ちゃんと授粉できているのか分からず、1カ月後に多くの実がなっているのを見てほっとした」。地元の人から「頑張ってね」と声をかけられたのがうれしかった。

チームは、空気の浄化効果のある花壇用の花を室内でも咲くよう改良し、震災被災者が暮らす岩手県の仮設住宅に届ける活動にも取り組む。「部屋に花があると心が癒やされる」と喜ぶ被災者を見て、花の力を実感した。

春から筑波大に進み、関心を深めた環境保全や品種改良を学ぶ。地元を離れるが、「サクラソウのことは忘れない」。慈しんできたピンク色の花の研究は、大学でも続ける。<文・遠藤孝康/写真・小松雄介>

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