「第6回毎日地球未来賞」受賞者決まる


食料・水・環境の分野で問題解決に取り組む個人・団体を顕彰する第6回毎日地球未来賞の受賞者が決まりました。表彰式・受賞記念講演会を2月12日(日)、毎日新聞大阪本社オーバルホール(大阪市北区)で開きます。受賞者のほか、毎日新聞デジタル報道センター編集委員、元村有希子さんの特別講演もあり、参加者を募集しています。

<毎日地球未来賞>賞金150万円

  • ・特定非営利活動法人シャンティ山口(角直彦代表理事、山口県周南市)

<クボタ賞>賞金100万円

  • ・霜里農場代表、金子美登(よしのり)さん(埼玉県小川町)
  • ・宮城県農業高校科学部復興プロジェクトチーム(渡邉翼部長、宮城県名取市)

<次世代応援賞>賞金50万円

  • ・フェリス女学院大学エコキャンパス研究会(増田瑛里沙主将、横浜市泉区)

<奨励賞>賞金25万円

  • ・鹿児島大学 Sustainable(サステイナブル) Campus Project(大前慶和法文学部教授、鹿児島市)
  • ・京都府立桂高校TAFS「地球を守る新技術の開発」研究班(コロンボン惠織ネルキ・リーダー、京都市西京区)

 

受賞者の活動紹介

シャンティ山口

タイ国内でも困難な暮らしをしている山岳少数民族の自立支援のため、生活環境改善や伝統文化や教育の支援など、地道で多彩な活動を1993年から継続して着実に展開している。

トイレの排せつ物を活用したエコトイレシステムの普及開発では、地元の人たちが施工に携わり、荒廃した農地の果樹林への転換も進めている。ハンディクラフトの製作などを推進し、自立を応援している。奨学金の支給や中学・高校生が自給自足しながら学校に通う「シャンティ学生寮」の運営にも取り組んでいる。日本の大学生を中心に現地への定期的なスタディーツアーを実施し、若者の意識向上につながっている。

金子美登さん

農林省(現農水省)農業者大学校を1期生として卒業後の1971年、水田、畑、乳牛、鶏の「霜里農場」を開設し、有機農業の実践を一人で始めた。今では生産グループに約60人が参加する一方、短期を含め国内外から約400人の研修生を受け入れ、資源循環型農業の推進に尽力している。地場産業とも連携し、無農薬米酒、豆腐などの加工品を開発している。地元のリフォーム会社が社員のために有機米を買い取るという先駆的な地域参加の試みにも取り組んでいる。バイオガス施設や太陽光電池パネルの活用や、農機具などに廃食油を使うなど、農業を柱に自給・自立を目指している。

宮城県農業高校科学部復興プロジェクトチーム

東日本大震災で津波被害を受けた学校の桜の保存プロジェクトから始まり、鎮魂も込めて周辺地域の植栽も行っている。

一方、持続可能な環境対策として、生業になり自然再生につながる「環境修復型農業」の必要性を痛感。耐塩性調査などを行ったうえで、果実のつく中国原産の野バラ「ツーリー」の普及に努めている。その過程で、果実から豊富なビタミンCやポリフェノールの抽出に成功し、ティーバッグ式茶を製造、イベントで販売した。地元の農業法人も栽培に乗り出している。

フェリス女学院大学エコキャンパス研究会

「文系の女子大学生だからこそできる」環境活動を実践し、子どもたちや開発途上国などのためにも良好な地球環境を残そうと、2002年に創立した。メンバーで企画を持ち寄ったり、意見を出したり、専門家の意見も聞きながら、ビオトープ造り、学生食堂での地産地消メニュー開発、ミニ風力発電などの親子工作講座などをひとつずつ実現している。さらに、熱帯雨林保全のため、森と共生しながら生産されているヤシ砂糖の商品化を企画するため、インドネシアを訪れ、視察・調査もしている。

自分たちでできることを楽しみながら行っている点が持続性の面からも評価された。

鹿児島大学 Sustainable Campus Project

生ゴミの堆肥化から始まり最終的に寄付金込みスイーツを販売する、参加者多様性を重視した生ゴミアップサイクル活動を展開している。JAグリーン鹿児島と共同で開発販売する段ボールコンポスターで市民が生ゴミを堆肥化し、耕作放棄地で市民がサツマイモを栽培。処分対象だったカボチャも使って、加工会社でペーストや餡を作り、それを使ってスイーツ店91店(2016年度)がオリジナルのエコスイーツを商品化する。販売価格に原則10円の寄付金を盛り込み、寄付金は市民グリーンファンドとして、次年度の活動に使われる仕掛けで、多数の市民が環境問題に関心がなくても参加できる。

京都府立桂高校TAFS「地球を守る新技術の開発」研究班

日本固有のノシバ(野芝)について地域ごとの自生種を発見し、独自の屋上緑化システム開発などに取り組んでいる。2012年から東日本大震災の復興を支援しようと、東北地方で固有ノシバ種を発見。それが耐塩性が強く、海岸部の堤防などの緑化に適していることを突き止め、国の協力を得て実証試験を行い成果を上げている。14年から宮城県の芝生産者と共同で、同県内の耕作放棄地でノシバの生産を始め、被災跡地にできた仙台うみの杜水族館などに植栽されている。さらに、ノシバの耐塩性を生かし、塩化マグネシウムを肥料の形で散布することで雑草種子の発芽抑制効果が得られることを発見し、実証試験を進めている。

主催 毎日新聞社
後援 内閣府、復興庁、外務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省
協賛 株式会社クボタ
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