《講評》 第38回毎日農業記録賞


いのち育む農へ真摯な作品–大澤貫寿・中央審査委員長

家族経営、地域との連携を推進した活性化への取り組み、さらに新規に就農した素晴らしさなど真摯(しんし)に農を描いた作品が多く寄せられた。

一般部門で高松勝雄さんが新技術や環境配慮の栽培法を創意工夫するとともに地域とのかかわりを通しトマト経営を成功させた姿には感動した。

保泉光子さんの養蚕に夫婦で打ち込む姿や天の虫への感謝、地域社会への貢献には心を強く打たれた。芦田恵子さんの駅に着目し、立派な経営体に進化させた努力には感服した。自由化や価格暴落を乗り越えて肉牛を肥育し、今や食の伝道師の松本トシコさん。口蹄疫(こうていえき)を乗り切り、両親の教えを胸に頑張る芳竹作知さん。これら大変貴重な作品で、感動的だった。

昨年から設けた新規就農大賞、多田初さんの「不法投棄の島」の自立と活性化に向けた農業再生記は、強い思いが伝わり、読み応えがあった。

高校生部門には新しい技術に取り組む作品が多く、心強かった。

口蹄疫との闘いを通して家族の絆の大切さを感じさせた田崎勇樹さんの感性の豊かさには感心した。栗原小百合さんはシクラメン栽培にLEDを取り入れた環境に優しい花づくりに挑戦。嶋崎郁菜穂さんからは、都市部での養鶏で効率的経営を成し遂げていく努力がよく伝わる。天海美里さんの地元特産品だった麻を活用する取り組み、松永良太さんや小泉貴大さんの後継者として自立を模索する豊かな個性、岡田宗之さんのボランティア活動を通して農・環境問題に取り組む姿勢。それぞれに頼もしく、農業の将来に明るさを感じさせてくれる。

いのちを育む農への関心が高まる一方、農業者の高齢化、後継者不足が一段と進んでいる。いのちを守り、地域農業活性化を真剣に担う人を育てることが何よりも重要だ。農に思いを寄せるさまざまな記録が、日本農業発展につながるよう審査委員一同願っている。(東京農業大学学長)

中央審査委員(順不同)

第2次審査委員

大澤貫寿・東京農業大学学長

伊藤澄一・全国農業協同組合中央会常務理事

鳥井一美・農林中央金庫専務理事

見城美枝子・青森大学社会学部教授

岡崎正昭・全国農業高等学校長協会理事長

河野俊史・毎日新聞社取締役編集担当・東京本社編集局長

第1次審査委員

久保信春・全国農業協同組合中央会広報部長

椎名宏行・全国農業協同組合連合会広報部長

矢島仁・農林中央金庫広報部長

田中広幸・全国共済農業協同組合連合会広報部長

花野耕一・全国農業高等学校長協会副理事長

吉野理佳・毎日新聞東京本社地方部長

北川創一郎・同大阪本社地方部長

野沢俊司・同西部本社報道部長

藤田健史・同中部本社編集制作総務

鴨志田公男・同北海道支社報道部長

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