《一般部門》優秀賞、農林水産大臣賞、全国農業協同組合中央会会長賞①


「農業高校生の生きる力をはぐくむために~学校設定科目『営農業シミュレーション』を通じて」

小笠原理高さん(40)=青森県五戸町、県立三本木農高教諭


キャッチフレーズは、「18歳にして社長。目指すは農業の達人」。生徒に仮想の会社を作らせ、農作物を育てながら「経営」させる、三本木農高独特の授業は9年目になる。収入のため生徒は自ら考え、授業のない日も農場へ。校内で販売した利益は経営側と教師ら株主で分け、株主総会で報告する。農業高校の役割が「後継者を育てる」から「農業を通じて生き方、考え方を身につけさせる」に変わったと考えての実践だ。
(写真は小笠原さん提供)

おがさわら・みちたか

青森県五戸町生まれ。勤務する三本木農業高は母校でもある。弘前大大学院を経て高校教諭に。趣味はドライブと釣り。

「給食野菜自給5割の学校づくり」

伊澤良治さん(60)=山形県高畠町、町立二井宿小校長


06年に校長として赴任し、「給食野菜年間使用5割自給」を提案した。「生きる力とは、自らの手で食べ物を育てる力」との考えからだ。まず、自給率について教室で学習。そして学年ごとに2種類ずつを育てる。3年生以上には、稲を育てるのに農薬を使うかどうか考えさせ、使わずに年に3、4回、草取りをした。08年度、12種中9種が自給率5割を超え、米とダイコン、カボチャは100%自給できた。  給食で、食べ残しはほとんど出ない。

いざわ・よしはる

山形県高畠町の兼業農家の生まれ。山形大教育学部(現・地域教育文化学部)の出身で、食農教育には30年前から取り組む。

「農業なんて、嫌いだった」

安部亜紀さん(28)=茨城県牛久市、農業


彼が突然、会社を辞めて農家に弟子入りした。当時は農業が嫌いで興味も無く、会社勤めを続けながら、一緒に暮らした。ある晩、彼が用意した新米や野菜はおいしく、ご飯を初めて3杯食べた。それがきっかけで畑が気になり、週末はついて行くように。そこで彼の師と語るうち人生観が大きく変わり、結婚。
冬の日、麦踏みをする夫の姿に、学生時代に研究した地下水汚染を解決するヒントを感じた。専門農家の立場から情報発信したい。

(写真は安部さん提供)

あべ・あき

沖縄県名護市生まれ。県立北山高、茨城大理学部卒。今は夫とともに安部農園(http://www.farm-abe.com/)で約420アールを耕す。

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