《高校生部門》優秀賞、東京農業大学賞、全国農業高等学校長協会賞①


「私の決意~未来の酪農人に伝えたいこと~」

山岸美咲さん(17)=北海道・私立とわの森三愛高2年


実家は北海道士別市で酪農を営む。小学校5年の時、牛舎が全焼し、飼っていた牛の半数が焼け死んだ。その夜、酪農を続けるか、家族が話し合う席で父に伝えた。「私が後を継ぐから、もう一回始めようよ」
親は地元での進学を勧めたが、酪農を学ぶため江別市にある高校へ。共進会に牛を出す農家で手伝うなど初めての経験を重ねている。命の大切さを伝えるため、将来は子供も搾乳できるような体験型牧場をやりたい。

やまぎし・みさき北海道士別市出身。江別市の私立とわの森三愛高酪農経営科で寮生活をしながら学び、学校では「共進会班」に所属している。

「ようこそ『にっこり民宿』へ」

山口郁美さん(18)=栃木県立宇都宮白楊高3年


家はナシ専業農家。両親はジュースなど加工品研究にも乗り出し、頑張っている。曾祖父の代から受け継がれてきたのに父で終わらせるわけにはいかない。私が継ごうと決心した。果樹園を手伝ううち感じたのは経営の不安。しかし、ニュージーランド農業研修で、農業体験ができる農家民宿をやろうと答えが出た。この考えを発表すると「ナシ農家と両立できるのか」と質問され悩んだが、家族や地域の力を合わせればできる、と気付いた。

やまぐち・いくみ

実家はナシ園の「山口果樹園」(http://www5e.biglobe.ne.jp/yu-yama/)。高校ではナシの食べごろ時期の調整も研究した。

「ここが私の甲子園」

松本祥治さん(18)=群馬県立中之条高3年


打球が相手左翼手のグラブに引き込まれ、高校野球県予選2回戦で「夏」が終わった。家は嬬恋村のキャベツ栽培農家。敗戦翌日の午前3時、畑に出た。父との約束通り、収穫作業の手伝いだ。そうだ、ここが私の甲子園なんだ。これからはここで勝負。日本一のキャベツ村で頂点に立つんだ。
野球部の監督は「欠点があるということは、うまくなる可能性がある証拠」と言った。キャベツ作りも同じと考え、突き進みたい。

まつもと・ただはる

野球は小学校3年生で始め、中之条高では4番打者だった。嬬恋村の実家は年間に4万ケースを出荷するキャベツ農家。

「私に農業を教えてくれた人へ」

佐々木彩さん(18)=東京都立瑞穂農芸高3年


農業に興味は無かった。あの酪農家さんに会うまでは。中学1年の総合教育の授業で、希望がかなわず職業体験は酪農に。牛舎に入ると想像していた「臭(にお)い」ではなく「香」が立ち込めていた。酪農家さんは何でも教えてくれ、家畜のとりこになった。都内で唯一、畜産科のある高校へ進み、出合ったのが豚。微生物で消臭する方法を酪農家さんに教わり、手応えを感じている。勉強を続け、いつかあの酪農家さんのようになりたい。

ささき・あや

東京都立瑞穂農芸高(http://www.mizuho-h.metro.tokyo.jp/)の畜産科学科養豚類型で豚の生理や生態をて学ぶ。同校農業クラブの会長も勤めた。

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