第38回毎日農業記録賞 《一般部門》 優秀賞③
ブルーベリーに賭ける私の想い
野村加奈子さん(33)=京都府京丹後市、農業
ブルーベリー栽培を、丹後地方では手本もないまま8年前に始めた。実家が非農家のため、農地を借りて栽培。地元のスーパーやケーキ屋に飛び込みで置いてもらったり、ジャムは風味や味を損なわないようサトウキビ由来の砂糖だけにするなど販売・加工も自分で考えた。農園に来て摘み取り体験をするお客の声を聞いて、元気をもらっている。
トマト農家の長男と結婚。作物は違うがお互い協力し、家族の時間も大切にしている。
のむら・かなこ
京都府旧網野町(現京丹後市)生まれ。府立網野高時代に1年間、英国に留学した。中学時代、大学時代はバレーボール部に所属した。同市久美浜町でトマト栽培をする夫、長男3人暮らし。
逆境をバネに、ジャージーアイスで夢を実現
吉井英之さん(57)=兵庫県朝来市、農業・あいす工房経営
大学を中退し、酪農業の実家で就農した。牛の数は一時、県内有数になったが、妻と母が相次いで他界し、家族経営が崩壊。廃業も考えた。しかし「搾りたて牛乳を加工して売る」妻の夢をかなえようと、ジャージー種だけ使うジェラートの加工販売所を03年、開店した。「山奥」だが、特産果実も使い、多くの客でにぎわう。小さくても創意工夫を重ねることで生きがいを感じられる取り組みに、若者は目を向けてほしい
よしい・ひでゆき
ジャージー種の新鮮な牛乳と地元の食材を使ったアイスクリーム店「あいす工房『ライラック』」(http://lilac-ice.com/index.php)を03年、自宅近くに開いた。種類は60以上あり、ネット通販もしている。
「さとうきびは宮古の宝」が合言葉
川満長英さん(66)=沖縄県宮古島市、農業
高校を出て、製糖工場に就職した。サトウキビが島の農家唯一の収入源だった時代。工場から農家に植え付けの応援に行った。家でも妻と栽培した。定年退職後、専業農家に。昨年は県の競作会で反収、糖度が評価され、1位になった。肥料を減らすため古くから伝わる下大豆を緑肥として植えるといった小さなこだわりも重ねている。生産農家が「さとうきびは宮古の宝」を合言葉に緑で埋め尽くせば、世界でここに勝る島はないと思う。
かわみつ・ちょうえい
ゴルフを少しやり始めたが、趣味も「畑」。妻と2人暮らし。独立した三男一女はさとうきび畑の植え付け、収穫には手伝いに駆けつける。孫は5人。「孫が畑を継いでくれたらうれしいね」