第39回毎日農業記録賞 《高校生部門》優秀賞①
イチゴとともに歩む私の農業経営
田中智也さん=北海道・岩見沢農3年
80歳になる祖父は30年間イチゴ栽培を続ける農業のベテラン。不耕起栽培でおいしいイチゴを作っている。学校の授業でヒントを得て納豆菌を活用することを祖父に提案。試験栽培で減農薬に成功した。卒業後は栃木県で研修するつもりだったが、東日本大震災で取りやめになった。震災で農業のやり方を変えていかなければならないという決意が生まれた。新たな研修先を探し、同じ志を持つ仲間を増やしていきたい。
たなか・ともや
実家は、水稲、大豆など合わせて26ヘクタールの耕作面積を持つ農家。3人兄弟の長男で家業を継ぐと6代目となる。
私と母の農業改革
渡邉有沙さん=栃木・宇都宮白楊2年
母は、生産調整で作付けしていない土地の有効活用のため加工用トマト栽培を始めた。作業中にパートの人たちと交わされるコミュニケーションで、農業は楽しいと感じるようになった。労働力の確保など今後の課題を考えるうえで、5歳で障害のある弟の存在が頭に浮かんだ。障害者にも、生活を続けるための賃金を支払えるような経営ができないか。そうすれば耕作放棄を食い止めることにもつながる。私も加わって農業改革を進めていく。
わたなべ・ありさ
放課後はコチョウランの培養の自主研究などに励む。休日の楽しみは外国の芸能雑誌などを読んで過ごすこと。
ぬか漬けの可能性を世界に
雫陽香(しずく・はるか)さん=栃木・宇都宮白楊3年
ぬか漬けに注目し研究とPRを始めた。うまみを出すため、昆布と鰹節を添加。酸味の改善のため乳酸を中和する卵殻を入れた。しかし、試食するのは高齢者ばかり。そこで、ぬか漬けを使ったタルタルソースなどを考案した。海外で暮らす日本人は発酵食品が恋しくなるので、小麦の外皮のふすまを利用した「ふすま漬け」を作ろうと考えている。世代や国籍に合ったレシピを考え、ぬか漬けの良さを理解してもらえるよう努める。
しずく・はるか
好きな野菜は「ネギ」。「独特な香りの中に甘みがあり、まっすぐに育っているところが好き」という。
世界にひとつだけの桜
松澤志歩さん=富山・中央農3年
小矢部市の浄教寺にある山桜は、一つの花に100枚以上の花びらをつける「世界に1本しかない桜」だ。樹齢150年以上で、新しい枝を伸ばす力がなく、枝先の多くが枯れ込んでいる。子孫を残すことが課題になっている。私は「バイオの力で増やせないか」と、仲間と「復活大作戦」を始めた。実験の結果、クローン苗を作ることができた。それが最良の方法とはまだ言えないが、追試験をして効率的に繁殖できるよう調査を続けたい。
まつざわ・しほ
将来の夢は「植物のバイオの研究職に就く」こと。中学、高校と吹奏楽部でアルトサックスを演奏する。
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