第39回毎日農業記録賞 《高校生部門》優秀賞②
非農家高校生の挑戦
熊木理恵さん=愛知・安城農林3年
叔母が育てた梅を梅干しにしていた祖母が4年前に他界。代わりに梅をつけた。1年目は祖母と同じものができなかった。形が悪いのは手間が足りないからだと考え、塩分も調べたところ祖母の梅干しは私のより約3%少なかった。2年目は少し味が近づいた。母からは「これはあんたの味だ」と言われた。規格外の梅を加工食品として市場に出すという目標ができた。責任をもって販売できる年齢になるまで、料理のレシピを増やしたい。
くまき・りえ
愛知県安城市のサラリーマン家庭に生まれる。07年に他界した祖母の梅干し作りを引き継いで5年目。
生命から見つけたもの
福島美月さん=岡山・高松農3年
昨年5月、学校の牛6頭が「成牛サルモネラ症」になった。うち3頭の淘汰が決まった。症状の重かった牛は解剖され、私も立ち会わせてもらった。そんな時、私の担当牛の妊娠を超音波診断装置で確認。感動した。命のつながりと力を感じた。こうした体験から将来、繁殖管理の仕事で農家を支えていきたいという夢が生まれた。その実現のため、家畜の繁殖について専門的な知識や技術を身に付けたいと考えている。
ふくしま・みづき
始業前の朝1時間と放課後2時間、昼休みにも牛舎に通い、夏・冬休みには1日中牛舎に。「見ているだけで楽しい」。
私の大好きな島原をもっと元気に!!
稲吉佐由理さん=長崎・島原農3年
現在、食品加工部に所属し、地元の製麺会社と連携して新商品開発に取り組んでいる。島原半島の伝統産業「手延べそうめん」を活用し私たちが10年4月に開発した「スープ生姜(しょうが)めん」は地元製麺会社により商品化され、大きな反響を呼んだ。この貴重な体験を生かすため、共同開発をした地元製麺企業への就職を希望している。生まれ故郷である大好きな島原の産業や農業を活性化するため一生懸命働きたい。
いなよし・さゆり
女子9人の「スープめん」づくりチームでは、よくしゃべり、よく笑い、にぎやかに研究する雰囲気をつくっている。
祖父の一言から始まった私の堆肥づくり
松元雄(まつもと・ゆう)さん=宮崎・門川高3年
畜産を経営する祖父に牛糞を早く堆肥にする方法を問われた。祖父は、牛糞で堆肥を作り、飼料をつくる畑にまいて循環型農業を実践していた。先生からヒントをもらい、バイオディーゼル燃料の製造過程で出るグリセリンに着目。祖父の堆肥舎でグリセリンを堆肥に混ぜて実験し、「使える」と言ってもらった。祖父は今年7月に他界した。この堆肥を全国に発信して、環境に優しい農業を広げていきたい。
まつもと・ゆう
会社員家庭で3兄弟の長男。学校では、農業や食品を学ぶ生徒約240人が所属する「農業クラブ」の会長を2年時から務める。