第40回毎日農業記録賞《一般部門》 優秀賞②


これが私の決めた道

坂口智美さん(45)=岡山県備前市

これが私の決めた道 坂口智美さん(45)=岡山県備前市

結婚してOLをしていた15年前、父が病気で倒れて亡くなり、ミカン農家になることを決意。鹿久居島の1ヘクタールの畑を引き継ぎ、船で通うようになる。父の農業日誌を頼りに試行錯誤し、05年には県農業大学校で受講。収量の安定化や害獣対策、安全・安心の販売に努力している。11年には県農業士に認定された。これまで多くの人に支えられてきたことを感謝し、これからは自分が地域農業を支えられる存在となることで恩返しができたらと考えている。

さかぐち・ともみ

現在は夫と2人暮らし。夢は、みかん畑で民宿を開き、みかん農家体験ツアーや料理教室を開くこと。

親父(おやじ)は仕掛人

近藤敏晴さん(65)=香川県三豊市

親父(おやじ)は仕掛人 近藤敏晴さん(65)=香川県三豊市

小学校3年の時、父とタケノコ掘りに行き、「掘って農協に出したらお金は全部やる」と言われ、達成感を知って、自然に農業に足が向いた。農業高校ではネーブルに魅了され、かんきつを勉強した後、20歳で就農。ミカン価格が暴落する中、ネーブルへの更新を急ぎ、経営が安定した。55年前のタケノコ掘りは親父の仕掛けだと思う。小学生でタケノコを掘った長男も08年に就農し、家族経営協定を結んで、最高の仕事「農業」にがんばっている。

こんどう・としはる

地域に伝わる「長刀(なぎなた)踊り」の保存活動にも取り組む。妻富子さんとの間に3男。

獣害から農地を守れ!被害から活用に!

渡辺秀典さん(35)=愛媛県今治市

獣害から農地を守れ!被害から活用に! 渡辺秀典さん(35)=愛媛県今治市

大三島のかんきつ農家の後継者として02年に就農。生産、販売を伸ばしてきたときにイノシシ食害の問題が起きた。農家での対応は難しく、捕獲から解体、肉販売の事業化を目指し、猟友会などの協力で10年に「しまなみイノシシ活用隊」を結成。肉の販売は手探りだったが、四国B級ご当地グルメ連携協議会を連携の中心に、アイデア実現の可能性が見えてきている。グルメ情報サイトとの出会いもあり、仕事の幅も広がっている。

わたなべ・ひでのり

育てるミカンはマルチ栽培による高い糖度が自慢。趣味はギターを手にした弾き語り。

農業大好き!食と農と私

小西千鶴子さん(51)=愛媛県伊予市

農業大好き!食と農と私 小西千鶴子さん(51)=愛媛県伊予市

結婚8年目に夫の両親から夫婦でハウスミカン栽培に誘われ、32歳で農家の嫁になる。夫が02年にハウスから転落して仕事ができなくなり、農業経営が私の肩にのしかかってきた。部会の人を頼りに聞き、細かな栽培記録をつけることで昨年、ミカンが支部の「優秀賞」を受けた。消防団にも入り、直売グループや食農教育の活動もしている。昨年は県農山漁村生活研究協議会の会長になった。暮らしの中に農や食、地域の絆がしっかり根付くよう頑張りたい。

こにし・ちづこ

同市のびわ農家の9人兄弟の8番目の長女として生まれる。自動車部品会社で夫婦で働いていたところから就農。

鍬(くわ)を手に自然と歩む有機農業

牧野太朗さん(34)=高知県宿毛市

鍬(くわ)を手に自然と歩む有機農業 牧野太朗さん(34)=高知県宿毛市

横浜の高校で地歴・公民の非常勤講師をしていた04年、妻が有機農園で本格的に研修を始める。反対しながら、農業は大切な営みだと思っていた。自分も農園に通うようになり、06年に就農を決意。高知の土佐自然塾で学び、08年に就農した。年間50品目の野菜を露地で有機栽培し、月100軒に発送している。自然の厳しさと恵みには、経済指標では測れない価値がある。人が生きるのに本当に必要なものは何か、立ち止まって考えるべきだと思う。

まきの・たろう

名古屋市出身。妻佳代さんと有機栽培農園「おむすび畑」を開く。農作業体験も受け入れ、13年は稲作にも挑戦予定。

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