第44回毎日農業記録賞《一般部門》 最優秀賞


見直したぞ!東京農業 私のイノベーション戦略~必要とされるために~

冨澤剛さん(43) 東京都三鷹市

冨澤剛さん(43)=東京都三鷹市

「冨澤ファーム」の4代目で、約30種類の野菜をつくる。野菜ソムリエの勉強会をきっかけに、給食への出荷をスタート。栄養士から「おいしい野菜をありがとう」と評価され、自信を持った。「江戸東京野菜」の栽培にも取り組んでいる。「こども食堂」への食材提供や保育園児の農業体験も始め、「こどもが笑うと大人も笑顔になる」と実感した。

相続のたびに農地の売却に追い込まれる都市農業だが、新鮮な農産物を供給する農地は地域の財産。都市農業の価値を高めていきたい。

帰ってきた翼(コウノトリ)

恒本明勇(あきお)さん(69) 福井県越前市

子どもの頃、くちばしが折れたコウノトリが飛来した。エサを集めたが、保護施設に送られてしまった。それから約40年。田んぼの生態系を学ぶうちに、「コウノトリを呼び戻したい」と考えた。無農薬・無化学肥料の栽培を始めた。手間がかかる農法だが、仲間と研修会や部会を設立。米ぬか由来の物質で雑草の生育を抑えるなど、試行錯誤を繰り返した。

理解者が増えていき、有機農業のネットワークが丹南地域や福井県全域に広がった。この地を選んで飛来した2羽のコウノトリを前に、「まだまだやるべきことは多い」と思いを新たにした。

“私たちの『農』のカタチ”

中山ツヤ子さん(80) 三重県名張市

平均85歳のおばあちゃん10人で「村おこしグループ」をつくり、10年前から月2回、朝市を開いている。200~300点が1時間でほぼ売り切れる。露地栽培の野菜をはじめ、米菓や漬物、餅なども手がける。人気の赤飯は徹夜で800食を作ったことも。

「孫に食べさせる野菜作り」をモットーに、農薬はできるだけ使わない。10年間で一度も休まず朝市を開いてきた。「年寄りが畑で野菜をつくり、朝市で売るのも、これからの農業の一つのカタチ」。大規模経営の農業でなくても、生きがいさえあれば、高齢者には少しの収入でも十分だ。

『夫と牛と堆肥(たいひ)と共に』~男女共同参画社会に生きて~

福田郁代さん(57) 長崎県西海市

35年前、自動車整備士の彼が「俺は、牛ば飼う」と宣言。保育士を辞めてついて行き、牛100頭の肥育農家に。生活費に困り、勤めに出て経理を身につけた。秋の稲わら積みでは背中に娘、おなかに子供を宿して作業。涙が出たが「負けるもんかな」と決心した。

夫を助け、堆肥づくりを担った。町農業委員に選ばれたり、狩猟免許を取ってイノシシを捕獲したり。厳しい畜産業界では「夫の三歩後ろでは間に合わない」。保育士の代わりはいるが、「お父さんのパートナーは私しかおらん」。

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