第46回毎日農業記録賞《一般部門》 最優秀賞


フリーターから学生、そして、トマト農家へ――農業新規参入実践録――

木田 文彦さん=茨城県那珂市

 20代後半で、父から「農業やってみる気はないか」と声をかけられた。農業大学校に入り、高糖度トマトの栽培に挑戦。取れたトマトの甘さに衝撃を受け、空きハウスを借りて生産者に。定植の遅れや疫病で疲弊しながらも、有料の生産管理システムを取り入れて労働を効率化。直売の客に「すごく甘い」と言われ、涙がこぼれた。客のクレームには経営責任も感じた。「収益は相互利益活動で生まれる副産物で、経営の本質は社会貢献」と考えるようになった。

 

農家の嫁から農業経営者へ~誰でも働ける農業経営を目指して~

佐藤 恵美子さん=栃木県さくら市

 農協職員の夫が始めたシイタケ栽培を手伝うように。1万8000の菌床を扱い、パートやバイトを雇うほどになった。しかし義母や義父が亡くなり、夫も44歳で急死。子供4人とハウスの借金が残った。途方に暮れたが、「シイタケを作るのは私しかいない」と経営主に復帰した。県外視察で技術向上に努め、新規参入者や障害者を受け入れて支援している。農業を志す人は、ぜひ私の所に来て、農業の夢を大いに語ってほしい。

 

気がつけば 百の夢を一つずつかなえる 百姓になっていた

小野寺 幸絵さん=栃木県市貝町

 結婚と同時に就農した。夫はケニア、自分はコスタリカで青年海外協力隊の経験があり、意気投合。馬小屋を改築して自宅にした。貯金が底をついたり、震災の風評被害に遭ったり。しかし、有機農業の検査員を務め、農業大使として沖縄・宮古島との交流を担い、イベント開催、海外研修生受け入れと大忙し。東ティモールでゴミ処理や養鶏も指導した。2015年に農業生産法人を設立。百の仕事をする百姓として、魅力的な暮らしを続けたい。

 

心だけを残せ

山﨑 早苗さん=長崎県五島市

 養鶏と稲作を手がけ、小規模ながら循環型農業を目指した。古い商店を改築し、直売所兼多目的施設「かたし」を開設。しかし10年目、建物の契約期限が切れ、ぼうぜんとした。牛小屋の倉庫を使って再建を始めたが、夫は夕方からアルバイトに出て、農場の仕事は自分に。1年後に新「かたし」をオープンし、直売に加えて予約制の居酒屋も始めた。やせた土地でも、地域や家族が協力し苦楽を分かち合う豊かな暮らしがある。昔の人から受け取った「心」が、誰かに受け継がれるだろう。

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