第47回毎日農業記録賞《一般部門》 最優秀賞


農業の可能性を幸せに作り変える

沢田石 武瑠(たける)さん = 秋田市

 「未来とは、予想するものではない、自分の手で可能にするものなんだ」。これは、サン・テグジュぺリが「星の王子さま」で使った言葉だ。農業の新しいスタイルを築く努力がなければ未来はない。秋田市園芸振興センターで研修し、来年、新規就農する。農業を「多角的に捉え直してほしい」との祖父の言葉に従い、東京農大と大学院で成功者の実態を学んだが、具体的成果が出せなかった。親友はサラリーマンをする道を勧めたが、祖父が現役を引退。これで覚悟を固めた。 星の王子さまの挿絵画法によるブランドイメージ戦略や土作り研究などで高品質・差別化の戦略を構築した。「食世界の幸せ」を届けたい。

 

国産パプリカの歩みとともに20年~支えられた家族を養う決意を込めて~

林 俊秀さん = 茨城県茨城町

 「仕事をやめて、農業をやりたい」。妻にそう話し、37歳で団体を退職した。25歳で結婚。学生時代から農業志望だったが、農家で苦労した母に反対された。80アールの温室を譲られ就農したが、設備のトラブルなどで苦闘。「父ちゃん、どうするの」と子供にしがみつかれる夢にうなされた。収穫は目標の半分、経費は2倍だった。「これでくじけるの。その程度の夢だったの」と妻。「子供は私が守る」。妻のその言葉に奮起した。試行錯誤の繰り返しで、就農10年目には1・5ヘクタールの新温室の増設に至った。来年は就農20年。もう一段高い計画を描き、次世代にバトンを渡そう。

 

私の農業奮闘記―農農と生きる―

見澤 富子さん = 埼玉県所沢市

 「うちは農家だから嫁に行くなら絶対農家だ」。父の言葉で、花屋になりたかった夢は消えた。 息子の存在が救いだった。息子は農業大学校卒業後、家を手伝うことになったが、経営方針を巡り夫と衝突。家を出てしまった。そんな時、夫は「花でも作るか」と言った。ふがいなさを感じていたのだろうか。花専用の5㌃を準備してくれた。 息子は北海道で引きこもりやニートの農業就労支援をし、自分を見つめ直していた。「一緒に農業をやりたい」。帰ってきた息子は今、トマトの栽培に挑んでいる。一度きりの人生。ゴールはひとつではない。いつでも「戻れる場所」が農業だ。

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