第46回毎日農業記録賞《高校生部門》優秀賞


高校生ファーマー 明るい未来を目指して

菊池 琉都さん=岩手県立盛岡農業高3年

  循環型農・畜産や地域交流の先駆者だった父を高2で亡くした。長男として事業を継承。地元特産「もちもち牛」の飼育に取り組んでいる。父は、和牛生産の低収益の主因を「高コストの4、5級生産への偏重だ」と言った。その遺志を継ぎ、家庭用・一般飲食店向けの「身近な黒毛和牛」でシェア取りを目指している。「農業はクリエーティブだ」。

 

自然と共に歩む農の道

長沼 佑弥さん=宮城県加美農業高3年

  3代の米農家。子どものころからアイガモ農法の手伝いをしてきた。自分が住む宮城県加美町の「大崎耕土」は世界農業遺産だ。ササニシキの先祖「ササシグレ」を栽培する。家の水田が区画整理にかかり自然の水路が消滅する事態に直面するが、学校の水田で自然栽培に着手、東京・世田谷で産品販売にこぎつけた。身近な自然の大切さを多くの人に伝えたい。

 

ある高校生「僕」のキヌア研究物語~学生による県初の栽培研究398日間の記録~

廣瀬 辰馬さん=筑波大付属坂戸高3年

 南米原産の雑穀「キヌア」。高1の校外学習でステイしたカナダの農家で存在を知り、卒業研究のテーマに選んだ。栄養価の高いスーパーフードで、米航空宇宙局(NASA)も推奨している。高大連携インターンシップに参加、今夏、収穫に成功した。将来は安全を保証する「G―GAP」認証の農業を目指す。

 

まくわうりと共に

原田 つぐみさん=岐阜県立岐阜農林高3年

 幼少期から転居が続き、孤独だった。地元の伝統は「真桑文楽」と「まくわうり」。文楽同好会の人から「一緒にやらないか」と誘われ、世界が開けた。織田信長も食べたといううりは甘い香りで知られ、文楽にも登場する。園芸科学科で栽培に着手。文楽の人からの応援に奮起、メロン栽培のノウハウや微生物資材の活用を進める。仲間と一緒に古里を元気にしたい。

 

甘酒をもっと身近に

佐藤 麻緒さん=愛知県立安城農林高3年

 姉の影響で、小6から甘酒好き。級友と「甘酒復興プロジェクト」を組む。アミノ酸を増やした甘酒を地元酒造会社に持ち込むと、製品化の返事が来た。試作と試飲を繰り返し、甘酒からつくった経口補水液も開発した。原料は自分たちが学校で栽培した米。田んぼアートなど活動の幅も広げ、6次産業化に成功した。将来の目標は栄養士。「甘酒の効用を広めたい」

 

私の描く科学な酒

竹内 愛幸さん=兵庫県立農業高3年

 中3から酵母菌と日本酒に引かれた。高校の「花酵母菌研究会」に入部。唯一、サルビアの花から採取したアルコール発酵特性を持つ酵母菌が産業利用に適することを突き止めた。今は日本酒醸造を行っている。試行錯誤を繰り返し、ワインのような味わいを出した。若者の日本酒離れが進むが、酒が苦手な人にも楽しんでもらえる付加価値を生み出すことが目標だ。

 

農業で守りたいもの

永田 清正さん=島根県立益田翔陽高3年

 標高500メートルの農地。そこで農業を営む父を見て育った。「農業には地域を守る役割がある」。そう語る父は耕作面積を増やし、都市の農業研修生を招いて就農人口を増やした。自身は農業高校へ。研修で訪問したタイで、小規模農家が多いことや6次産業化の主体を農家が担っていることを知った。生産規模の拡大より、生態系を守る持続型農業の実践が必要だと考える。

 

「石鎚黒茶」を知っていますか?~幻のお茶の次代伝承プロジェクト~

渡部 周真さん=愛媛県立西条農業高3年

 弘法大師が中国から伝えたといわれる「石鎚黒茶」。日本に四つしかない「後発酵茶」の一つだ。製造法は口頭伝承のみ。これを次世代に引き継ぐ研究を実践。黒茶の販売団体との協力で、挿し木による栽培を始めた。ドローンを使って発酵に適した場所を探索。ドライフルーツを入れた現代風アレンジなど消費拡大も模索する。

 

高校での日々の活動で学び、考え、感じていること

香川 百萌子さん=宮崎県立高鍋農業高3年

 採卵養鶏農家を継ぐことを考えている。課題研究に「乳加工」を選び、ゴーダチーズとクリームチーズに挑戦。低温殺菌・冷却と続く製造時間の長さや100リットルで10キロしか取れない生産量の少なさ。チーズが高価な理由が分かった。販路拡大のため地元ホテルと共同でチーズパンを開発。コスト削減に成功、プロモーションにも取り組んだ。

 

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