第47回毎日農業記録賞《高校生部門》優秀賞


小麦のように私は生きる

佐々木 快さん = 北海道美幌高3年

  生まれつき上手に話ができない。「コミュニケーションをとることが一生できないかもしれない」と思った。唯一、興味を持ったのが農業だった。学校の農業クラブの先輩が、生き生き自信を持って話す姿にあこがれを感じた。小麦の成長を見て「その調子で頑張れ」と心で応援した。小麦をしっかり踏むことで麦の生命力を高める麦踏み作業を体験、麦の力強さに衝撃を受け、自分を重ねた。町内のリーダー養成塾に参加、生き方に積極性が芽生えた。今は育てた小麦を使ったうどんで、食育に取り組む。人間関係に自信がついた。農業は積極性を養う産業だ。

 

『結』の後継者として小友の発展を目指す

高成永遠(とわ)=岩手県立遠野緑峰高1年

  「人間と自然のハーモニー」という言葉を大切にしている。無農薬・無肥料米を栽培する、ある伝統農家の言葉だ。中2の職場体験でここを選んだ。「楽にしたいというのは人間の勝手な思い。自然が死んでしまう」と聞かされた。助け合い協力し合う「結」の精神も知る。IT農業が進んでも一番重要なことだ。 この農家での農業体験イベントを通じて、全国の参加者と交流する。実家は地域の畜産家と畜農連携を結び、「結」の関係が生きている。高校卒業後は水稲栽培を継ぐ。農家レストランを開き、「結」を広げたい。

 

次世代の乳牛改良に挑戦

岩佐 佐助さん = 兵庫県立播磨農高3年

 メス選別精液は、メスが9割になる発明だが、正常な受精卵はほんの数個しかできない。播磨農高の乳牛クラブでは、受精卵移植技術による改良で、現在いる牛の91%が受精卵移植をする乳牛と、それが産んだメス牛。昨年の県共進会で、同校の受精卵移植牛が育成部門1位に。同校ブランドの凍結受精卵を県酪農組合に販売している。3年になった時、顧問の先生からメス選別精液の研究中止を言われたが、「あと1年」とお願いした。分娩(ぶんべん)、泌乳のストレスのない育成牛でやれば正常な受精卵の回収につながると仮説をたてて実証した。

 

父の思い、そして私の夢

浦 太遥(たいよう)さん= 福岡県立久留米筑水高3年

 夢は二つ。一つは父がこだわる無農薬米栽培を継ぐこと。「農薬をまいた米を客に食べさせるわけにはいかん」と、父。30ヘクタールの水田作業を手伝うのは嫌だったが、苗の成長を見て達成感を得た。父を尊敬した。 もう一つの夢は飲食店の経営。それをうちあけると、父は「自分の好きな仕事に就け」と言った。その父は昔、大工になる夢をあきらめて農業を継いだ。「米作りを父の代で終わらせたくない」と心に決めた。 学校主催のベトナムとの交流で、海外の人にも無農薬の米を食べさせたいと思った。農家レストランの開業が目標になった。

 

全ては、子供の時に憧れた、『あの輪の中』に入るために

田爪 鴻太郎さん = 宮崎県立高鍋農高3年

 故郷、宮崎県西米良村は県内一人口の少ない村。「千人が笑う村」がキャッチフレーズだ。96%が山林。中学卒業後、皆、高校進学で村を出るが、「帰ってきたい」と話す。  小6の時、村人同士がビニールハウス張りの作業を無償で助け合う「てごり文化」のことを父に聞き、衝撃を受けた。「大人になったら、絶対にこの輪の中に入るんだ」「絶対、この西米良で農業をやりたい」 高校で「むら創生学見学研修」に参加。1回目の研修先は西米良村だった。地域資源を守り生かすのは、そこに暮らし、アイデアを発信し行動する「人」だ。

 

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