「第7回毎日地球未来賞」受賞者決まる
上総掘りをつたえる会に未来賞
食料・水・環境の分野で問題解決に取り組む個人・団体を顕彰する第7回毎日地球未来賞の受賞者が決まりました。表彰式・受賞記念講演会を2月10日(土)、毎日新聞大阪本社オーバルホール(大阪市北区)で開きます。受賞者のほか、ラグビー男子15人制日本代表強化副委員長、山神孝志さんの特別講演があり、参加者を募集しています。
<毎日地球未来賞>賞金150万円
◇特定非営利活動法人上総(かずさ)掘りをつたえる会(髙橋文代代表理事、千葉県袖ケ浦市)
<クボタ賞>賞金100万円
◇特定非営利活動法人田舎のヒロインズ理事長、大津愛梨(えり)さん(熊本県南阿蘇村)
◇特定非営利活動法人桜ライン311(岡本翔馬代表理事、岩手県陸前高田市)
<次世代応援賞>賞金50万円
◇長崎県立諫早農業高校食品科学部(岡村彩加部長、諫早市)
<奨励賞>賞金25万円
◇兵庫県立農業高校生物工学科花酵母研究会(竹内愛幸会長、加古川市)
◇緑のリサイクルソーシャルエコプロジェクトチーム(山川愛里・徳島県立新野高校チーム代表、阿南市)
受賞者の活動紹介
上総掘りをつたえる会
千葉県君津地方で明治時代に考案された井戸掘り技術「上総掘り」を活用して、1981年からフィリピンの小中学校に井戸を設置したりする活動を続けている。木材と竹、掘り鉄管といった簡単な道具を使い人力だけで井戸を掘ることができるため、今では現地のボランティアだけで井戸を建設できるようになった。
支援要請を受けたセブ島では、島全体が岩盤でできているため、山の湧水場所から2㎞離れた学校までパイプラインをつなげた。
大津愛梨さん
ドイツ生まれ、東京育ち。慶応大学環境情報学部を卒業後、夫婦でドイツに留学した。そこでドイツの農家がエネルギーや環境も守る姿に触発され、夫の祖父らが農業をしている熊本県・南阿蘇に移住し、家族経営で米生産、あか牛放牧を始めた。その傍ら、家畜の排せつ物などを使ったバイオマスエネルギーの普及・啓発活動に取り組んでいる。
女性農業者の支援や、熊本地震を受けてシェルター機能を持つカフェを開いたりしている。
桜ライン311
東日本大震災の津波被害を風化させず、次世代、他地域の人たちに自然災害の脅威を伝えようと、岩手県陸前高田市の津波最大到達地点を結ぶ170㎞に桜1万7千本を植える活動をしている。2017年11月までに市内268カ所に1324本の桜の苗木を植えた。市内の子どもから全国から集まったボランティアまで延べ4400人以上が参加している。
代表理事の岡本翔馬さんは大震災を機に東京での仕事を辞めて帰郷、桜ライン311などを設立した。防災士の資格を持ち、講演活動もしている。
長崎県立諫早農業高校食品科学部
長崎県西部に位置し、五島列島の中通島、若松島を中心とした新上五島町は高齢化と人口減少が進んでいる。そんな地域を活性化させようと、サツマ芋をゆでて天日干しした、地元の伝統的保存食「かんころ」をもとに、フランス菓子「かんこロッシェ」を作り、製造・販売する取り組みをしている。
周辺は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産に登録される予定で、増加が期待される観光客の土産品にもなりそうだ。
兵庫県立農業高校生物工学科花酵母研究会
酵母菌のお陰で味噌など多くの発酵食品が誕生した。花酵母研究会は、花や果実に繁殖する野生酵母の採取、保存、評価活動をしている。その中でノジギクから採取した野生酵母DOJ-1株が、デンプンから直接、油脂を生産する能力を持つことを突き止めた。
一方、廃棄処分されている鶏糞(けいふん)にはデンプンが多く残留している。乾燥鶏糞にこの野生酵母を添加し培養した結果、バイオディーゼル燃料の精製に成功した。実用化できれば、廃棄物の鶏糞を有効利用でき、農業環境の改善に役立つと期待される。
緑のリサイクルソーシャルエコプロジェクトチーム
徳島県立新野高校、小松島西高校勝浦校、小松島高校の高校生や中学生計52人が集まって環境問題に取り組んでいる。その中で、河川や公園などの維持管理で発生し、処分されている「刈草」に着目。3年かけて、刈草を分解発酵させた資源循環型肥料「もったいない2号」を開発した。肥料取締法に基づく製造業・販売業の認可を受け、「よりもったいない2号」は県認定リサイクル製品の認定も得ている。さらに、高校生が組織するエコロジカル企業をつくり、地域雇用を生み出している。
主催 | 毎日新聞社 |
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後援 | 内閣府政策統括官(防災担当)、復興庁、外務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省 |
協賛 | 株式会社クボタ |