「第13回毎日地球未来賞」受賞12団体決まる
毎日地球未来賞(大賞)は「NPO法人 暮らし・つながる森里川海」と「愛媛大学附属高等学校理科部プラガールズ」
21世紀の地球が直面する「食料」「水」「環境」の問題解決に取り組む団体・個人を顕彰する「第13回毎日地球未来賞」の受賞者が決まりました。
受賞記念活動報告会を2月10日(土)午後2時から、毎日新聞大阪本社オーバルホールで開催、その模様をYouTubeで配信します。
総合司会は、吉本興業所属の芸人「浅越ゴエ」さんです。
また、受賞者同士によるトークセッションや、当日のプレゼンの分かりやすさ、面白さなどを基準に視聴者に投票いただく「ナイスプレゼン賞」の投票を当日、オンライン上で実施します。ぜひご覧ください。
報告会開催日時:2月10日(土)14時~16時半(予定)
視聴URL:https://youtube.com/live/trZmZCBmN54

受賞者一覧
毎日地球未来賞(大賞)
一般の部
NPO法人 暮らし・つながる森里川海(神奈川県平塚市)
理事長 臼井勝之
相模川下流域の環境保全や子どもを対象にした環境教育活動を2001年から続けている。「いい川づくり」「川の自然と触れ合える場づくり」を目標に、22年度は川の自然楽校やヤギ島探検ツアー、ナイトウオークなどの自然体験、環境学習活動を計85回開催し、延べ3000人以上が参加した。行政の資金提供を受けず、オールボランティア体制で、運営資金はNPOが負担。馬入水辺の楽校の「フィールドミュージアム」化を目指している。
学生の部
愛媛大学附属高等学校 理科部プラガールズ (愛媛県松山市)
リーダー 門田未来
<活動概要>
瀬戸内海のマイクロプラスチック汚染の実態を調べ、解決策を探るため理科部の女子生徒が結成。現在は2~4代目となる8人が在籍する。レジ袋有料化で普及したバイオマスプラスチック配合レジ袋は、自然界へ循環する生分解性がないと実験で確認し、海洋細菌を使って生分解性のあるプラスチックの材料物質抽出に成功し、低コスト化も実現した。現在は昆虫の腸内細菌を利用したプラごみ分解処理技術に挑戦している。環境イベントや国際会議で発信するなど啓発活動にも力を入れる。
クボタ賞
一般の部
一般社団法人 食品ロス・リボーンセンター (東京都千代田区)
代表理事 山田英夫
<活動概要>
長年食品流通業に携わった代表者が、食品ロス削減のため2016年に設立した。自治体の災害備蓄食品を回収して福祉施設や子ども食堂、フードバンクなどに寄贈する活動からスタート。小学校の給食に備蓄食品を使い、食育の出前授業もする。賞味期限切れなど寄贈できないものは障害者支援施設の協力を得て飼料化し、農業高校とともに受け入れ農家を開拓。現在は保管や処理の難しさから備蓄が進まない液体ミルクの問題解決に取り組む。
学生の部
玉川学園サンゴ研究部 (東京都町田市)
部長 乙部 結生
<活動概要>
サンゴの研究、保護活動を2011年から続ける。沖縄県石垣市での現地調査を経て、学校内でサンゴ養殖、飼育に取り組んだ。安定的な飼育に成功し、現地の海への移植に挑戦したが、白化したことを受け、移植先の選定についても研究。移植先の選定に環境DNA分析を導入する試みなどが評価され、国際的な賞を受賞した。22年度から伊江島の海への移植を試みている。部員を役割別に3班に分け、生徒が主体的に活動できるプラットフォーム化も進めた。
SDGs未来賞(学生の部のみ)
愛知県立安城農林高等学校 園芸科 土壌研究研修班 (愛知県安城市)
教諭 松原努
<活動概要>
水耕栽培で発生する根の残さは悪臭の原因などになる一方、培養液中のリンを含むことに着目。シマミミズに与えて分解させ、リンを含んだ糞土(ふんど)を堆肥として使う方法を開発した。栽培実験で肥料成分をとどめる力が強いことなどが分かり、根のほかに葉や茎、家庭生ごみなども分解させる研究を続ける。また、ミニトマトの生産、販売のロス削減にも挑戦。適切な時期に収穫することで、廃棄の主因となる裂果を減らすことに成功した。
愛知県立佐屋高等学校科学部・グリーンコース (愛知県愛西市)
生徒代表 宮本彩名
<活動概要>
地元特産のレンコンの新しい栽培方法と葉や茎などの残さの利用に取り組んだ。通常は廃棄される小さな種レンコンの栽培に挑戦。小ぶりながら問題なく育ち、種苗代の節約につながる可能性を示した。収穫方法では、土の量を減らした浅床栽培なら、大幅に労力を削減できることを確かめた。残さについても、焼いてバイオ炭にすることで、稲の育苗に使えることを確認した。栽培経験者がいない中、農家などに教えを請いながら成果を上げた。
愛媛県立西条農業高等学校 チームパパイヤ (愛媛県西条市)
生徒代表 青木柊聖
<活動概要>
栄養価が高い熱帯の果樹、青パパイアの6次産業化を目指し、普及活動や商品開発を進める。地元は果樹栽培が盛んだが、後継者不足などで耕作地放棄が増えており、対策として研究を始めた。太陽光発電を利用して栽培に成功し、育苗技術も確立。苗を農家に提供し、20軒以上の農家が栽培している。鳥獣による食害がないことも農家のメリット。果実を使ったかす漬けやピクルス、レトルトカレーなどの商品開発にも力を入れる。
奨励賞(学生のみ)
北海道剣淵高等学校 食品加工班 (北海道剣淵町)
生徒代表 下山流聖
<活動概要>
地元特産の穀物・キヌアの規格外品をはじめ、町内の給食施設のダシの絞りかす、米ぬか、ホタテの貝殻、生徒が駆除したウチダザリガニなど多様な材料を、学校で飼育する鶏の餌として利用している。地域の未利用資源の活用、在来生物の保全活動によって栄養価を高めた鶏卵を生産し販売している。さらに鶏糞は農場の肥料にしている。
滋賀県立大学 近江楽座あかりんちゅ (滋賀県彦根市)
代表 太田恵里佳
<活動概要>
2009年に設立。寺院の儀式で使われたろうそくは、再利用されず廃棄されていることに着目した。寺院に寄付してもらったろうそくでキャンドルを作り、キャンドルナイトや手作り教室に生かし、販売もしている。イベントで使用する分は社会福祉法人に製造を委託し、障害者の社会参加の一助としている。活動費は全てイベントの報酬や売上金で賄っている。
大阪府立園芸高等学校園芸デザイン部 (大阪府池田市)
部長 福山希尋
<活動概要>
クラフトビールの製造過程で出るモルト(ビール)粕の堆肥化に取り組んだ。これまでは廃棄するしかなく、費用や環境負荷が発生していた。バークチップと混ぜて混合堆肥とすることに成功し、花のポット苗やミニトマトなど野菜の栽培に使用。飲食店の協力で、育てた野菜を使ったラーメンなどを開発。これまでに約20トンのモルト粕を堆肥化した。
徳島県立阿南光高等学校 緑のリサイクルソーシャルエコプロジェクトチーム (徳島県阿南市)
チームリーダー 西﨑彩乃
<活動概要>
河川敷や公園などで刈られた草(刈草)などの植物廃材を利用した資源循環型肥料「もったいない1号」を2013年に開発。その後、放置竹林の竹を材料に加えた改良版も製作した。肥料は、東日本大震災後の復興支援として岩手県陸前高田市での桜の植樹に使われている。またチームの応募で2025大阪・関西万博の会場の並木に使われることが決まった。
佐賀県立伊万里実業高等学校 フードプロジェクト部 (佐賀県伊万里市)
生徒代表 山口優花
<活動概要>
食品ロス削減を目指し、規格外食品を利用した商品開発などを2015年から実践。21年からはフードドライブに取り組み、一人親世帯や児童クラブに届けている。地元NPOとともに23年7月、市内で初めての子ども食堂を、駅前ホテルなど地元企業の協力を得て開設。以降、毎月1回開催し、「郷土料理」「SDGs」など食育の場ともしている。
主催 | 毎日新聞社 |
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後援 | 内閣府政策統括官(防災担当)、外務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省 |
協賛 | 株式会社クボタ |